平野山 高蔵寺(木更津市)

 高蔵寺では坂東三十番札所の御朱印(写真掲載)のほかに、新上総一番札所、三面大黒天、望叶観音、閻魔大王、三面大黒天(金文字・特別)の御朱印も頒布されています。
 高蔵寺は真言宗豊山派に属し、通称「高倉観音」と呼ばれ、地元の人に親しまれていると共に、坂東三十三観音の第三十番札所となっており、多くの人が訪れる、かずさ地域の名刹です。

 高蔵寺は6世紀の用命天皇(ようめいてんのう)の御代、徳義上人(とくぎしょうにん)によって開創されたと伝えられています。上人がこの地で修行中のある日、雷がしきりに起こり、里人たちは世の変化の現れと恐れていました。上人はこれを妙縁として、一人山中に籠りました。そこへ老翁が現れ「衆生済度のために飛来した観音をここに安置した」と古木を指し姿を消しました。上人がその梢を見ると、そこに四寸(約12p)ほどの観音像が安座していたので、上人は里人と共に堂宇を建立して安置したことが高蔵寺の始まりであると伝えられています。
 高蔵寺のご本尊は、その後、行基が訪れた際に刻んだ一丈二尺(約3・6m)の正観音像で、徳義上人が祀った像はその観音の頭部の中に納められています。高床式の本堂の床下を巡る地獄界・極楽界・観音浄土巡り(大人300円、小人 100円)をすることにより、秘仏とされていたご本尊の全身を床下から常時拝観できるようになっています。
  また、高蔵寺には藤原鎌足(ふじわらのかまたり)の生誕にまつわる伝説も残っています。この里の有力者だった猪野長官(いのうちょうかん)という人物が、40歳を過ぎても子宝に恵まれず、ここの観音に願をかけたところ予与観(しよかん)という名の一女を授かりました。その子は心清く人に親切な素晴らしい娘に成長しましたが、器量が悪かったために良縁なく嘆いていました。彼女は自分が生まれた経緯を父から聞かされ、同じようにここの観音におすがりしたところ「鹿嶋に行って日天を拝みなさい」との夢告があり、男子を授かりました。この子が後の藤原鎌足であり、鎌足はこの観音を深く崇拝して七間四面の本堂、阿弥陀堂、三重塔や鐘楼などを建立したといわれててます。
 残念ながらこれらの建物は火災に遭い、現在の本堂は室町末期の大永6年に再建、仁王門・鐘楼堂は江戸時代に再建されたと伝えられています。なお本堂、仁王門、鐘楼堂は昭和51(1976)年2月17日付けにて木更津市指定文化財に指定されています。
 また、木更津の在来種「鎌足桜」の祖株が矢那の進藤家より木更津市に寄贈され、地元の要望を受け高蔵寺に移植され、平成17(2005)年2月25日に天然記念物として木更津市の文化財に指定されています。本堂裏側にある霊園に行けば、その祖株を見ることができます。
所在地 木更津矢那1245
御朱印 500円(坂東三十番札所)
〈問合せ〉
TEL0438(52)2675 平野山 高蔵寺 [ホームページ
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