山王山 円如寺(君津市)

 君津市の久留里地区にある円如寺は関東八十八カ所霊場の第55番、東国花の寺百ヶ寺千葉8番、新上総國三十三観音霊場第8番、上総国薬師如来霊場第13番、上総の七福神霊場「寿老神」等の霊場札所になっており、それぞれの御朱印があります。
写真の御朱印は関東八十八カ所霊場の第55番のもので、御本尊の大日如来(だいにちにょらい)の文字が記されています。
 円如寺の正式な寺名は山王山薬王院円如寺(さんのうざんやくおういんえんにょじ)で、真言宗智山派の寺院です。
 寺伝によれば、行基菩薩が神亀2(725)年、現在の君津市箕輪に入定寺を開山、関東八州の天台宗の本山として隆盛したといわれています。円如寺はこの寺の末寺の一つで、後醍醐天皇の孫にあたる教慶法親王が應永2(1395)年に山王前に伽藍を建立したことをもって創建とされています。その後、元亀2(1571)年に伽藍が現在の場所に移転されたそうです。

 戦国時代、久留里城主里見氏と小田原北条氏との争いの中、本山の入定寺の座主が北条側についたため、入定寺とその末寺のほとんどは廃寺となってしまいました。しかし、円如寺は幸い廃寺を免れました。その際に、真言宗に改められたと伝えられています。
 江戸時代には、久留里藩主の黒田公の祈願所となり、久留里城廃城後も昭和初期に至るまで、かつて城内に祀られていた黒田家の位牌が円如寺に安置されていたそうです。なお黒田家の菩提寺は埼玉県飯能市にある能仁寺です。
 昭和9(1934)年、弘法大師1100年御遠忌を記念して四国八十八カ所霊場の移しの霊場が円如寺に設けられました。本堂裏山を廻るコースになっており、弘法大師御影の石碑が並んでいます。後に裏山は公園として造成され、新久留里公園として地域の人々に親しまれています。
  昭和33(1958)年、豪雨による裏山の土砂崩れにより、本堂が倒壊してしまいましたが、奇跡的に御本尊の大日如来像が発見されました。その後、本堂は弘法大師1150年御遠忌の記念事業として昭和62(1987)年に再建されました。その後も境内の整備が進められ、現在の伽藍となっています。
 本堂には桃山時代作の御本尊金剛界大日如来の他、十一面観音菩薩、上総の七福神・寿老神が祀られています。
 薬師堂には薬師如来、日光・月光菩薩、十二神将、厄除け弘法大師が祀られています。
 薬師如来の尊像は「髪薬師」の名号を持つ秘仏で、御開帳は寅年に行われています。


 また、境内では桜、梅、ミツバツツジ、花菖蒲、大賀ハス、萩、モミジ等、季節の景色を楽しむことができます。特に、500株の萩の花は、9月中旬の秋彼岸頃に満開となります。
 毎年、この時期に開催されている「萩まつり」は新型コロナウイルス拡大防止のため今年は中止となりましたが、 萩の花は自由に観賞できます。
所在地 君津市小市部127
御朱印 300円(関東八十八カ所霊場の第55番、東国花の寺百ヶ寺千葉8番、新上総國三十三観音霊場第8番、上総国薬師如来霊場第13番、上総の七福神霊場とも)
 ※ 住職が不在の場合は書置きのみとなります。御朱印帳への記載を希望する方は、事前に問い合わせて下さい

〈問合せ〉
TEL0439(27)2100
山王山 薬王院 円如寺 [ホームページ
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