◆ ◆ ◆ かずさの本棚 ◆ ◆ ◆

山あり、海あり、歴史あり。
魅力溢れるかずさ地域は、書籍にもよく登場します。
かずさ地域がモチーフになったり、かずさの歴史を扱っている本を集めてみました。
今、ワルツを踊れば・・・。
二宮淑臣 (にのみやよしおみ)
発刊日:2023/05/15
定価:770円 (本体 700円)

A6版/並製/188頁
ページ数:188

木更津・君津を舞台に社交宇ダンスの世界を描き・・・・

競技としてのダンスと、パートナーシップを深めるためのダンスの間で揺れる葛藤の物語。
あらすじ

ワルツを踊りながらシニア男性が悩む。遺影で微笑む妻と、アダムとイヴの原罪というミステリーと、どう向き合うか。
社交ダンスは今日、スポーツと理解されているが、情緒を伴う独特の世界でもある。そのスポーツと情緒との狭間で心が揺れ、人間の本性に解を求めて、ある決意に至るまでの道のり……。
競技としてのダンスとパートナーシップを深めるためのダンスの間で揺れる葛藤の物語。

図説 戦国里見氏 房総の海・陸を制した雄族のクロニクル
滝川恒昭 細田大樹/編著
2022年6月下旬刊行
A5判/並製/176頁

【目次】
T 里見氏の房総進出とその活躍
享徳の乱をきっかけに里見義実が安房白浜へ入る

U 義堯の登場と北条氏との攻防
上総錯乱―真里谷武田氏の内紛に小弓公方足利義明が介入

V 義堯・義弘の活躍と上杉謙信
本拠・久留里城落城寸前に謙信が越山し、義弘が鎌倉で対面

W 義弘・義頼父子と関東の争乱

X 義康・忠義の苦悩と名族里見氏の滅亡

付章 里見氏のルーツと滅亡後の一族

あらすじ

戦国時代に房総の海・陸でライバル北条氏と激戦を繰り広げた里見氏の活躍を時系列でわかりやすく解説。
「海の戦国時代」をテーマに、江戸湾全域にわたって駆け抜けた海と陸の戦国一族を新史料をもとに活写。
美しい写真・図版をふんだんに使い、これまでにない戦国の雄・里見一族の歴史を通覧する。
ライバル北条氏をはじめ、上総武田氏、古河公方、小弓公方、甲斐武田氏、越後上杉氏など多士済々な一族の動向も収録した決定版。
『パパイヤ・ママイヤ』(小学館)
乗代雄介著

木更津市に実在する小櫃川河口盤州干潟を舞台に、2人の高校生の成長をみずみずしく描かれた作品。
あらすじ

わたしたちの、奇跡のような一夏の物語
17歳の夏、SNSで知り合ったパパイヤとママイヤは木更津の小櫃川河口の干潟で待ち合わせをして、初めて会った。アル中の父親が大嫌いなバレーボール部のパパイヤと、芸術家の母親に振り回されて育った、写真が好きなママイヤ。二人は流木が折り重なる”木の墓場”で週に一回会うようになり、心を通わせる。
そして、奇跡のような出会いは、二人の夏を特別なものに変えていく――
「なりたい自分だって気がするんだよね、あんたといる時だけ」
少女たちの儚くも輝かしい一夏を瑞々しい筆致で描く、新時代のガールミーツガール小説。
『ちびねこ亭の思い出ごはん』シリーズ(光文社)
高橋由太著

高橋さんは君津市出身で、君津市や千葉の名所・名物が物語の随所に登場するを「ちびねこ亭の思い出ごはん」シリーズを描いています。
あらすじ

新進俳優として注目されていた兄が、自分をかばい交通事故で亡くなった。やり場のない悲しみと後悔を抱える琴子は、死者に再会できるという千葉の内房にある食堂へと向かう。その店で故人との思い出の料理を食べると、ありえない現象が起こるというのだ。半信半疑で訪れた彼女を包んだ温かな奇跡とは? 感動の涙をおさえきれない切なくて優しい連作短編集。
失われた英雄:新・阿久留王伝説
露崎清美著
あらすじ

とてもとても古い時代、日本にまだ「西日本ヤマト国」「東日本クナ国」「エゾ国」の3つの国があった頃。
日本統一を果たそうと迫り来るヤマトタケルの東征軍、迎え討つは蝦夷の雄・阿久留王。やがて阿久留王とその民人は滅んでいったのだが……日本草創期に、時代の流れに翻弄されつつ、滅びゆく民族を命がけで守ろうとした悲劇の英雄を描く、歴史ロマン小説!
古代「ヤマトタケル」東征伝説を追う
露崎清美著
あらすじ

―伝承・伝説から知る日本のなりたち―
日本武尊は、『古事記』や『日本書紀』に多くの記録が残る日本古代史最大の英雄である。日本武尊の伝説は、その悲劇的な結末と共に、今も多くの人に愛されている。
本書は、その日本武尊の事跡の中でもあまり記載のない東征伝説の行跡を、房総半島の各地に残された伝承・伝説の中から採集し記録した作品である。
日本のなりたちや歴史を知るための一書として、本書は詩さに富む内容となっている。

 
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 ◆ 文化人をも魅了した「鋸山」 
〜鋸山にまつわる作品たち〜
夏目漱石『木屑録(ぼくせつろく)』

明治22(1889)年、若き日の夏目漱石から友人正岡子規に宛てた漢文による房総旅行記。
漢文は現代人には難解ですが、現代語訳や解説書も出ています。

『夏目漱石の房総旅行 「木屑録」を読む』(斎藤均著 崙書房出版 1992)
『漱石の夏やすみ 房総紀行「木屑録」』(高島俊男著 朔北社 2000)
『漱石の夏休み帳 房総紀行「木屑録」』(関宏夫著 崙書房出版 2009)
明学生だった漱石が23歳の夏やすみに友人4人と房総旅行に出掛け、その見聞をしるした漢文紀行です。
▼漱石、羅漢像に会う  (参考:菱川師宣記念館)
 「どれも実に様々な姿で、表情にも富み、一つとして同じものがない。石仏を彫った石工の心づかいが知れる。配置についても、ただ一カ所に集めたのではない。最初に二百体ほどの石仏を発見し、我らは羅漢のすばらしさに感嘆したが、すぐその岩角を回ると、さらに百体ほどの石仏が並んでいる。頭上を見上げれば、巨大な岩が群がり、今にも崩れ落ちそうだ。恐ろしくて目を転じると、岩の上にもまた数十体の石仏。また狭い道を進んで尽きたところに、洞窟が広々と口を開け、羅漢がぎっしりと並んでいる。我々は歩むに従って異なった景観を見せられ、優れた羅漢像たちが予想外の場所に現れるのを見て喜んだ」。

正岡子規『かくれみの』

漱石の「木屑録」に触発され、明治 24(1891)年、子規も房総にやってきました。市川から成田、大多喜、小湊、鋸山を廻った旅日記です。
子規は鋸山へ登った際に、「山から盛んに石が切り出されている。百年後には鋸山は地図から無くなってしまうのでないか。」と危惧する様子を日記につづっています。

『かくれみの街道をゆく 正岡子規の房総旅行』(関宏夫著 崙書房出版 2002)
松本清張 『連環』(講談社:1962年11月

虚構に生きる男が、追跡者の執念にあえなく自滅してゆく過程を描く傑作。

鋸山ロープウェイができたころが舞台となっており、石切場や五百羅漢を通って山を登り内房の海岸線を俯瞰する。

▼吉行淳之介 『鋸山心中』(小説新潮:1988年9月)

淳之介は大正13(1924)年4月13日、父:エイスケ(モダニズム詩人)と母:あぐり(美容師)の長男として岡山県岡山市に生まれ、東京麹町(現:千代田区麹町)に育った。淳之介が小学校低学年であった昭和7(1932)年から9年頃、避暑のために竹岡村・金谷村(現:富津市)を何度か訪れている。この時の回想が、後年『鋸山心中』という短編小説となって発表されている。
文中に出てくる竹岡駅は昭和5(1930)年8月に開設されており、駅ができて間もない頃であった。この時代は、上海事変、五・一五事件、小林多喜二の検挙、虐殺などが相次いで起きた暗い緊迫した世相であり、房総沿岸は要塞地帯指定で写真撮影もままならなかった。そんな時代背景でありながら、この作品には当時の竹岡周辺の、のどかで風光明媚な漁村風景が描かれている。