縁起がいい?新茶の季節です〜八十八夜〜

「夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか あかねだすきに菅(すげ)の笠」
有名な「茶摘み」の歌です。


▼「八十八夜」とは、いつのこと?

 立春の日から「八十八日目」であることからその名がついた「八十八夜」。その年によって日にちが変わり、今年は5月2日が「八十八夜」にあたります。立春や啓蟄、春分といった「二十四節気」を補完するものとして、言いならわされてきた「雑節」の一つです。
 では、なぜ立春から数えて八十八日目をこう呼ぶようになったのでしょう。それは、農業に従事する人々が多かった昔の日本社会で、ちょうどこの頃が種まきや田植えの準備、茶摘みなど春の農作業を行う時期にあたっていたからです。
 「八十八夜の別れ霜」といわれるように、この頃から霜が降りなくなり、日に日に夏めいてきます。

 「末広がり」の姿をしていることから、幸運を呼ぶとされてきた「八」の字。その「八」の字が二つ重なった「八十八夜」は、それだけに縁起のいい日と考えられていました。また、「八」「十」「八」の3つの字を組み合わせると「米」という字になるため、とくに農業に携わる人びとに大切にされてきたのだと言われます。
▼「八十八夜の別れ霜」「八十八夜の忘れ霜」

 急に気温が下がって遅霜(晩霜)が降り、農作物に被害を与えることを警戒した言葉です。
農作物の多くが新芽を出したりして、育ちはじめるころなので、この時期の遅霜は農作物に大きな被害を与えます。
しかし、八十八夜が過ぎれば、遅霜が降りることは少なくなり気候も安定することから、八十八夜は昔から農作業の目安とされ、農家ではこの頃から本格的に農作業にとりかかりました。
▼豆知識 なぜわざわざ88日目を「夜」と言うの?

 日本では明治5(1872)年に改暦が行われ、現在の太陽を基準にした「太陽暦(グレゴリオ暦)」を使用することになりました。この「八十八夜」は、それより前の月の満ち欠けを基準にしていた旧暦(太陰太陽暦)の時代から使われており、その頃は「夜」を基準に考えられていたため「88日目=八十八夜」になったと言われています。 
▼豆知識 なぜわざわざ88日目を「夜」と言うの?

 日本では明治5(1872)年に改暦が行われ、現在の太陽を基準にした「太陽暦(グレゴリオ暦)」を使用することになりました。この「八十八夜」は、それより前の月の満ち欠けを基準にしていた旧暦(太陰太陽暦)の時代から使われており、その頃は「夜」を基準に考えられていたため「88日目=八十八夜」になったと言われています。 
▼八十八夜に摘んだお茶を飲むと「長生き」できる?

 お茶の葉は、冬の寒い時期にゆっくりと養分を蓄え、春になると少しずつ芽を出します。このため、いち早く芽吹いた茶葉を収穫してつくった新茶(一番茶)は、その後に摘まれる茶葉よりも栄養価やうまみ成分が多く含まれていると言われています。そのため「新茶を飲むと病気にならない」「八十八夜に摘まれたお茶を飲むと長生きできる」と考えられています。
▼お茶の効果・効能とは

 お茶の効用の多くは、お茶独特の渋みのもととなる成分で茶カテキンによるものです。発がんを抑える作用、血液中のコレステロ−ルを低下させる作用、老化を防止する作用、血圧の上昇や血糖値の上昇を抑える作用、抗菌作用、虫歯を防ぐ作用、口臭を予防する作用など実に多くの効きめを持つものです。
 次に挙げられるのがカフェインです。眠気を覚まし、疲労感を取り除く効果があります。また、ビタミンCも多く、お茶として飲むことが出来ます。
 ほかにも各種ビタミンが含まれ、中でも多いのはカロテンやビタミンEです。カロテンは緑黄色野菜に多く含まれ、がん予防に効果があるのではないか、と近年特に注目を浴びている栄養素です。ビタミンEも老化防止効果などで、非常に評価が高いものです。
▼おいしいお茶を淹れよう

  お茶をおいしく淹れることがお茶の効用を最大限に引き出します。
 ほとんどのお茶の有効成分は、2煎目までに出てしまいます。たとえばカフェイン・ビタミンC・テアニンなどは、1煎目で60%以上が、2煎目で15%が出てしまいます。ですから3煎目以降のお茶は、おいしくないばかりか、ほとんど有効成分がないということです。

▽お茶の量
 ぜいたくに使った方が味は良くなります。だいたい3人分6g位が目安です。
▽お湯の温度
 お茶は入れたときの温度が高いと渋みのある味になり、低いと甘味のある味になります。煎茶で70度位(ポットのお湯を少し冷ましたぐらいの温度)が、おいしく飲めます。
 水で出したお茶は、渋みがほとんどなく、甘味のあるお茶が入れられます。

▽簡単でもおいしい淹れ方
@沸騰させたお湯をいったん湯のみに注ぐ(湯のみを温める)
Aそのお湯を急須に戻す
B湯飲みに茶を注ぐ
 少しぬるめのお湯で淹れることでうまみを効果的に引き出すことが出来るので、ぜひお試しあれ!
▼免疫力アップに?水出しのヒミツ

  緑茶の中で、ビタミンCが一番多く含まれるのは、煎茶です。ビタミンCは、酸化されやすいので、発酵させると減少します。そのため、烏龍茶では極めて少なく、紅茶になると消滅してしまいます。また、玉露や抹茶は、茶畑に覆いをして育てることで、ビタミンCが作られるのを抑制してしまうため、少なくなります。
 ビタミンCは水溶性なので水に溶けやすいですが、熱に弱い性質があります。緑茶に含まれるビタミンCは、カテキンがビタミンCを安定に保ってくれるので比較的壊れにくいですが、水出しすることで熱にさらされることなく抽出することができます。

◎冷水ポットでたっぷり作る
《準備するもの》
 冷水ポット、水1L、茶葉15g(ティースプーン5杯又はティーパック)
《作り方》
@冷水ポットに茶葉をいれます
※ 茶こしがついている場合はリーフのままでもよい
※ あとで茶葉を捨てやすいようにティーパックにいれてもよい
A水を注いで、冷蔵庫で2〜6時間冷やします
 じっくりと抽出することで、ゆっくり茶葉が開き、美味しいお茶になります。
 寝る前に作っておけば、翌朝には出来上がりです。
※ 作った水出し茶は、衛生上からできるだけ1日で飲みきって下さい
※ 水出しした茶葉は、2煎、3煎と飲むことが出来ます
▼保存法

  せっかくの香りを損なわないよう「密閉保存」が大原則!チャックのついた袋や、タッパー、缶などに収納して冷暗所に置き、早めに使いきるようにしましょう。冷蔵庫にしまってもOKですが、お茶は他の食材の匂いを吸収しやすいので気をつけて。
 お茶の良い香りには約10種類以上の香気成分が含まれており、その中の一つの青葉アルコールという香りは、気持ちを穏やかにし、リラックスさせる効果があるようです。
 お茶を飲んでホッと一息。日本人は古くからお茶を飲んで心と体の疲れを癒していました。そのお茶の素晴らしい効能は、現代の科学で少しずつ解明されてきました。
まさに先人の知恵、受け継いでいきたい日本の文化ですね。

 いつもはペットボトル派、マグカップ派の人も、この時期だけは丁寧に淹れたお茶を楽しんでみませんか?
 今まで知らなかったお茶の魅力に出会えるかもしれません。