日本の秋の風物詩。「お月見」の季節です

夏が過ぎ、涼しくなり始めました。
そよぐ風を感じながら、
澄んできた夜空の月を見上げてみませんか?

▼2023年の十五夜は、9月29日(金)です

 もともと、十五夜は旧暦の8月15日とされていました。新暦で表すと月遅れの9月15日を十五夜と思う方も多いですが、実は、その年によって十五夜の日にちは変わっています。
 月の満ち欠けを基準にしていた旧暦と、太陽の動きを基準にしている新暦では、一年の始まる日も一年の長さも異なります。そのため、旧暦と新暦にズレが生じ、実際には、毎年9月中旬〜10月上旬の間に十五夜(旧暦8月15日)がくるとされています。
 また、月の満ち欠け(新月から満月)の周期も約15日と一定ではないため、十五夜と満月の日も例年1日〜2日程度ずれることがあります。
▼十三夜と十日夜について

 お月見といえば、中秋の名月と呼ばれる「十五夜」が一般に広く普及していますが、他にも、十三夜や十日夜(とおかんや)というお月見行事があります。
十五夜、十三夜、そして十日夜の3つの月見を合わせて「三月見」といいます。

 ○十三夜…中国から伝わった十五夜に対し、十三夜は日本由来の風習だといわれいます。十三夜には、栗や枝豆を供えることから「栗名月」「豆名月」とも呼ばれています。

  ちなみに、十五夜または十三夜のどちらか一方しかお月見をしないことを「片見月」といい、縁起が悪いとされました。また、「十五夜」「十三夜」「十日夜」の「三月見」が晴れると良いことがあるといわれています。
 ※ 2023年の十三夜は、10月27日(金)です

 ○十日夜…十日夜は東日本を中心に行われている収穫祭です。稲の収穫を祝って餅つきをしたり、稲の茎をたばねた「わらづと」や「わら鉄砲」で地面の神を励まして作物に悪さをするモグラを追い払うなど、地方によって内容は様々です。
▼お月見の風習とお供えものについて

 お月見には、美しい月を眺めるだけでなく、収穫に感謝して、月に見立てたものや収穫物をお供えするという風習もあります。

 ○ススキ…秋の七草の一つでもあるススキには、悪霊や災いなどから収穫物を守り、翌年の豊作を願う意味が込められています。そして、鋭い切り口を持つススキは魔除けになるともされており、庭や水田に立てたり、軒先に吊るす風習が今もあります。

 ○お団子(月見団子)…月に見立てたお団子をお供えすることで、月に収穫の感謝を表します。十五夜では15個、十三夜では13個を、ピラミッドのように積んでお供えします。

 ○農作物(里芋・栗)…お月見は、豊作を祝う行事でもあります。里芋、栗、枝豆など、収穫されたばかりの農作物をお供えし、収穫に感謝します。十五夜が、別名「芋名月」とも呼ばれる所以ですね。
▼お月見の独特な風習「お月見泥棒」とは?

 お月見泥棒とは、近所の子どもたちがお月見のお供えものを盗む風習のこと。
「お月様が月見団子を食べてくれた」と考え、子供の盗み食いが歓迎されるのです。
地域によっては、今でも子供たちが「お月見ください!」「お月見泥棒です!」と各家に声をかけてまわり、お団子やお菓子をもらう風習が残っているそうです。
▼秋の七草

 春の七草は1月7日の人日(じんじつ)の節供に七草粥にして食べることで有名ですが、秋にも七草があります。
秋の七草は、これにちなんだ節供や行事があるわけではなく、鑑賞して秋の風情を楽しむ草花が選ばれています。


【萩】(ハギ)
「萩」とは「秋に咲く草」という意味。お彼岸のおはぎは、この萩に由来します。


【桔梗】(キキョウ)

秋の七草のひとつですが、むしろ盛夏の花といえます。根は太く、喉に効く生薬になります。

【葛】(クズ)
茎で籠や布を織り、根から採取したでんぷんがくず粉となります。
くず粉で作ったのがくず餅。漢方薬の葛根(かっこん)は根を乾燥させたものです。

【藤袴】(フジバカマ)
花色が藤の花に似ていることから「藤袴」の名が付いたとのこと。
茎を乾燥させると香りが強く、桜餅のような香りがする。貴族たちは湯に入れたり、衣服や髪につけていたとか。
別名「蘭草」「香水蘭」。

【女郎花】(オミナエシ)
恋に破れて身投げした女の脱ぎ捨てた山吹色の衣が、この黄色い花になったといいます。全体に大きく白い花が咲くのは「男郎花(オトコエシ)」。
二つの自然交配種は淡い黄色で「オトコオミナエシ」といいます。

【尾花】(オバナ)
ススキのこと。草が茂っている様子が「薄(ススキ)」で、穂が出た状態は動物の尾に見立てて「尾花」といいます。
ススキは「茅(カヤ)」ともいい、これで葺いた屋根が「茅葺屋根(かやぶきやね)」です。

【撫子】(ナデシコ)
愛児を失った親が、その子の愛した花を形見として撫でたことに由来し、別名「片身花」といいます。
日本女性の代名詞「大和撫子」はこの花からきています。
 「お月見団子」もそそられますが、たまごの黄身を満月に例えた「月見うどん」や「月見そば」、「月見バーガー」など、気になる料理もたくさんありますね。オススメの「月見料理」や、オススメの「お月見団子」などがあれば、ぜひ教えてください。
 皆さん、それぞれのお月見を楽しんでくださいね。
木更津市
きさらづ歳時記〜旧安西家の十五夜〜
開催日/9月26日(火)〜10月1日(日)
年中行事の一つ、昔ながらの十五夜の飾り付けが木更津市指定文化財「旧安西家住宅」で行われます。懐かしい風景を楽しんでみませんか。

◎期間 9月26日(火)〜10月1日(日)(中秋の名月は9月29日(金)です)
◎休館日 月曜日
◎時間 9時〜17時
◎会場 旧安西家住宅(太田公園内) 
◎対象 どなたでも
◎参加費 無料 
◎申込み 不要。直接会場へ



〈主催・問合せ〉
TEL0438(23)0011
※ 8時30分〜17時15分
木更津市郷土博物館 金のすず